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『トリツカレ男』、超満員の名古屋で初日開く!!!! [トリツカレ男]

 ついに、『トリツカレ男』の初日が開きました。
 今まで、このおしゃべりな僕が、ほとんどと言って良いほど中身や演出やキャスティングに触れてこなかったこの新作公演。
 なぜなら、いしいしんじさんの原作を読んでいらっしゃる方、読んでいらっしゃらないで「キャラメルボックスの新作公演」として楽しみにしてくださっている方、などなど、いろんな可能性があって、いつになく「どこまでをネタバレと呼んで良いのか」ということに慎重になっていたことがひとつ。
 次に、ダンス、組み体操を使ったパフォーマンス、大道芸、スローモーション、生演奏、などなどなどなど、どこまでが本番で採用されるかわからない状態で稽古が進んでいたということがひとつ。
 そして、自分が担当している音楽が、稽古の最終週で二転三転してしまっていて、楽しくブログを書く余裕が全くなかった、というのが最大の要因ではありました……。
 
 そんなわけでっ!!
 チケット担当から届く「販売週報」によると、前売り券が完売しているという名古屋公演初日が、ついに開きました。
 昨日は丸一日「場当たり」をやって、数々のパフォーマンスや舞台セットの転換の練習をし続けました。
 そして今日は、昼間にゲネプロ。この時点では、いろんなところに数々のミスが出ていて、ゲネプロ終了後はかなり緊迫した空気が流れておりました。あっ、ちなみに、今回もまた僕はムービー担当なので、写真は撮れておりませんっ!!
 
 しかしっ!!
 「ほんとに満員になんかなるのかなー。もしかして、エクセルの表の合計欄の計算式が間違ってたとか、初めてやる劇場だから客席数を数え間違えてたとか、そーゆーのなんじゃないのかなー」と、最後の最後の前説に出て、しゃべり終える寸前まで持っていた疑念が、完全に振り払われました。
 
 ……本当に、930席の名鉄ホールが、満席になっていたのです。
 客席の真ん中後方にPAと照明の席があるので数十席はロスしているのですが、それでも、後から聞いた話ですが、なんと「最後の1枚」まで当日券で売り切ったところで、一人のお客さんもお帰りいただくことなく開演できたのだそうです。奇跡に近い出来事です。
 
 そして、果たして、キャラメルボックスの数々の挑戦が果たして4年半ぶりの名古屋の皆さんにどう届くのか、僕は固唾をのんで客席の隅で見守っていました。
 
 すると、前半は初日の緊張からか堅さが見えた役者達も、ゲネプロで失敗していた様々なことが次々と成功していくと、どんどんリラックス。坂口が、要所要所できちんとスマッシュヒットの笑いを飛ばし、西川や菅野がいつものように身体を張った卑怯な(?)笑いを飛ばしていくと、どんどん劇場の空気はゆるんでいきました。
 いや、「ゆるんだ」というのは違うかもしれません。
 あたたまっていった、と言う方が正解でしょう。
 
 そして中盤、畑中演じるジュゼッペが何かをするたびに、満員の客席がぴくり、ぴくり、と動き始めました。
 それまでは観る側にも当然不安があったことでしょう。しかし、役者達が、観ている人たちの不安を吹き飛ばすような高難易度のパフォーマンスを成功させていくうちに、緊張感が安心感に変わり、安心感が感動に変わり、そしてジュゼッペがタタンにトリツカレることを決めたところからはもう、名鉄ホールのどこからも、かさりとも音がしなくなっていきました。
 
 物凄い集中度。
 そして、クライマックスシーン。
 「ペチカーーーっ!!」と叫びながら、後ろ向きに倒れていくジュゼッペのシーンでは、劇場中の呼吸が止まったかのようにさえ思いました。
 
 そして、エンディング。
 あまりにハッピーなそのラストシーンで、僕は、ただただ登場人物みんなが愛おしく、ジュゼッペとペチカの笑顔がピンスポットで抜かれた後に「ふっ」と暗転になった瞬間に拍手をしそうになり、「あっ、いかん、関係者だった」と思いとどまろうとしました。
 が。
 僕より先に、なんと、拍手は客席から起きたのです!!
 4年半ぶりの、名古屋で、です。
 「上演中やカーテンコールの反応は全国一おとなしいのにアンケートの評判だけはとてつもなくいい」と言われ続けてきた、「シャイな街・名古屋」で、です。
 
 もちろん、名古屋公演が行われていない間、東京や関西まで遠征してご覧くださっていた皆さんもいらっしゃったことでしょう。また、SKY PerfecTV!でCaramelBoxTVをずっとご覧くださっていた方々もいらっしゃったことでしょう。でもしかし、ほとんどのお客さんが、4年半ぶりだったはずです。または、キャラメルボックスなんて初めてだったはずです。
 それなのに、堂島孝平さんの『Lucky Sad』が爆音で鳴り響く真っ暗な中、拍手のヴォリュームの方が圧倒的にデカく、場内を包みました。
 そして、明転。
 「どうでしたか?」と不安そうな表情の役者達を迎えたのは、900人の最高の笑顔でした。
 
 あぁ、もう、これで大丈夫。明日から、僕らは頑張ることができる。
 胸をなで下ろす、というのの何百倍も凄い勇気を、客席からいただくことができました。
 
 2回。3回。響き続ける拍手に応えて、役者達が出てきてご挨拶をしました。
 最後に、一歩出ようとした畑中が、何も無いところでつまづいてよろけたのを、岡田達也は見のがしませんでした。
 日常から、畑中を見守り続けてきた岡田達也。今日の初日が無事に開いて、最も嬉しかったのはおそらく、こいつだったんじゃないか、と思いました。
 
 なんという充実感。なんという高揚感。
 こんなことがあるから、舞台はやめられないんですね。
 
 ちなみに、「名古屋公演限定販売・ナナちゃんポストカード」は、売れすぎて大変なことに!!
 そして、名古屋と東京限定の「ペチカのパン」(←神戸は、みきまるパン!!)も、終演後、瞬時に完売。
 こんなことがあるから、製作もやめられないんですね。
 
 さぁ、これから、いろんなところに報告を書こうと思います。僕は、ちょいと体調が悪いために、名古屋に来た2日目からお酒を口にしておりませんので、眠くなるまで書き続けたいと思います!!(←なんか本末転倒?!)


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ひまわり

ワクワク! ワクワク!
この気持ちどうしましょう?(笑)
by ひまわり (2007-11-10 17:13) 

ゅう

凄く素敵な2人の笑顔☆
東京公演まで、この笑顔がずっと続きますように・・・
楽しみに待ってます(*^_^*)
by ゅう (2007-11-10 17:13) 

朋

会社で読んでいたというのに、
その場の空気を想像したら、涙が零れ落ちそうになってしまいました。
東京公演が待ち遠しいです!

でも、号泣しちゃったら恥ずかしいな...。(^^ゞ
by 朋 (2007-11-10 22:16) 

DRE

今日見させていただきました。
生で見るのは初めてでしたが、とてもよかったです!
まだ見てない人のために、細かいことは書けませんが、こんなにいいとは嬉しい誤算でした。
ちゃんと約束通り、来年から毎年名古屋でやってくれるんですよね(笑)

ただ、ペチカのパンは現定数少な過ぎ。もう1桁増やしても完売したのでは?
by DRE (2007-11-10 23:07) 

まりにゃ

幸運にも、その初日を、観劇した者です。(私にとって、初めての生キャラメル)
加藤さんのこのブログを拝読して、あの地鳴りのように響いた、大きな拍手を思い出します。
1人ひとりの感動が、共鳴し合って、劇場全体を包んだ瞬間だったと思います。
素晴らしい作品を、温かな体験を、心から、ありがとうございました。
by まりにゃ (2007-11-10 23:43) 

こう

客席の顔もそうですが、名鉄ホールのおじさま方の顔も。
あぁぁぁ良いお顔~。アンモナイト化石の説明にも満面の笑顔。
(エレベーターホールにあります。キュート♪(*^.^*))
初日はドキドキでした。初演初日なんて本当に初めて!
終わってからもドキドキでした。うわー駄目だ、やられちゃった!!
もう一回見たい!と思ったら、もう一回見れちゃうのは流石、地元。
来年もお待ちしてます♪(*^o^*)/~
でも、その前に、明日の名古屋千秋楽も行きます。
わくわくして目が冴えてます。遠足の子供か私?
by こう (2007-11-11 01:37) 

yu_u.

追加公演の土曜の夜の回拝見させていただきました!!
追加公演ありがとうございます♪♪
おかげさまで久しぶりのキャラメルボックスを観れました。

東京でみるのとはやっぱ違いますね、会場の雰囲気が。

ひさしぶりに”きゅん”ときました(古い表現ですが)

いやぁ、とりつかれましたね。再び。
昔ほど見に行ってなかったんですが、やっぱり名古屋公演きてくださるなら観に行かなきゃって思いますもの♪
名古屋のキャラメルファンをとりつかせてください!!
という事で来年もお待ちしてます★
by yu_u. (2007-11-11 03:12) 

シロツキ

ほんとに良かったですよ、初日!!
加藤さんの文章読んでなんだか泣けてきました。
by シロツキ (2007-11-11 21:53) 

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